市來健吾の日記

プログラマ、(元)物理屋(ナノテク、流体)

simon singh「フェルマーの最終定理」(新潮社 IBSN 4105393014 amazon.co.jp - 、例えば 森山さんの書評)を久しぶりに読み返す。


  • アメリカに居た時偶然録画した PBS で放映された video を見返す。 (付記:元は BBC の NOVA という科学番組。 cf. 2/26/2008) video で andrew wiles が語った言葉がそのままが本に「」で書かれている。 日本でも NHK で放映されたようだが、前半が録れてないので 誰か貸してくれないかな(だが本を読む限り番組の価値は 後半の wiles 自身の発言にあるようだ)。
    wiles 「実は、ケンブリッジに入ったときにフェルマーの問題をいったん棚に上げた のです。どうでもよくなったわけではありません。 いつも心の中にありましたから。」(p.207)

    志村 「谷山は、たくさんの間違いを犯す、それもたいていは正しい方向に間違う という特別な才能に恵まれていた。私はそれがうらやましく、 真似してみようとしたが無駄だった。そうしてわかったのは、 良い間違いを犯すのは非常に難しいということだった。」

    問題解決のエキスパートは、相矛盾する二つの資質をそなえていなければ ならない--たえまなく湧きあがる想像力と、じっくり考えるしぶとさである。 ハワード W. イーヴズ

    ワイルズはまず、最新の数学雑誌にかたっぱしから目を通し、 新しいテクニックをいじりまわして徹底的に身につけた。 … この作業は、それから一年半のあいだ続くことになる。(p.258)

    wiles 「大事なのは、どれだけ考え抜けるかです。 … 未解決の問題にぶつかったりしたときには、 定石になったような考え方は何の役にも立たないのです。 新しいアイディアにたどりつくためには、 長時間とてつもない集中力で問題に向かわなければならない。 その問題以外のことを考えてはいけない。 ただそれだけを考えるのです。 それから集中を解く。 すると、ふっとリラックスした瞬間が訪れます。 そのとき潜在意識が働いて、新しい洞察が得られるのです。」

    nick katz 「おそらく問題は、講義を聴くときの態度にあるのだと思います。 すべてを理解することと、講義する人のじゃまをしないこと、 その兼ね合いが難しいのです。 もしもひっきりなしに質問していたら…講義する方は何も説明できなくなり、 聴く方も結局は何もわからずじまいになるでしょう。 一方、質問しなければ内容は理解できませんから、 礼儀正しく頷いてはいても、何もチェックできないことになってしまう。…」

    せめてもの慰めに、ワイルズはなぜ失敗したのかを知りたかった。 …うまくいかなかった理由を突き止めることにした。… 「この方法を生かせると思っていたわけではありませんが、 少なくとも、なぜだめなのかは説明できるだろうと。 … すると突然、まったく不意に、信じられないような閃きがありました。 … とてもシンプルで、とてもエレガントで…。 どうして見落としていたのか自分でもわからなくて、信じられない思いで20分間も じっと見つめていました。 それから、日中は数学科の中を歩き回り、何度も机に戻っては、 それがまだそこにあることを確かめました。」

  • 10/31/2006: 二階の書斎に出勤