市來健吾の日記

プログラマ、(元)物理屋(ナノテク、流体)

「 複雑流体の数理(II)」 (京大数理研)、三日目


  • "Towards a micromechanic understanding of the pressure distribution under heaps" H-G. Matuttis(東大・工) et al.


    • 遅刻して、結局話しが掴めなかった。 密度変化が大事。

  • 「二次元空間内の砂山底面での圧力分布に関する数値計算」 稲垣紫緒(茨城大・理)


  • 「砂山の応力分布の理論解析:可解モデルとその問題点」 早川尚男(京大・人環)


  • 「定常的な表面流をもつ粉体積層における遅い運動の実験的研究」 小松輝久(原研・環境科学) et al.


    • 佐々さんを意識している様子。 「学生さん、学生さん」と言うのを聞き、 ふと自分ももう学生さんに同じレベルとは見られていないのかな、とか考える。

    • 中身について。大変面白い話。 「上下(流/固)分離はダメ」という statement はしかし misleading な気もする。 下も実は流れているという事実は正しいが、 上と下でその「流れている」現象は別物に見える。 「別物」という意味で上下の分離は可能では。連続転移しているのか? 速度が連続に繋がっている事も自明でない気がする。 下でも運動方向が斜めに選択される事も興味深い。 測定はしなくても良いから超長時間流し続けると、 超長時間後の振舞はどうなるか? (上層の流れの振動による下層の log scale 緩和 -- void の消滅の関係 -- と下層の void の生成メカニズムの関係は?)

    • 「一年後見ておれ!」の発言は忘れないようにしておこう!

  • 「粉粒体垂直パイプ流のダイナミクス」 荒井大知 et al.(中大・理工)


    • 基本的に今回新しい結果は見当たらなかった。 松下研の学生さんの世代交替を感じ、自分の取った年を考えてしまう (こればっか)。 逆に考えれば、物事の本質的な発展は所詮ゆっくりしてるので、 やっぱり開き直るくらい腰を据えてやってて良い気がする >自分。

  • 「細い管内で強く励起された粉体の挙動の有効的な次元の変化」 粟津暁紀(大阪府大・工)


    • 話を限定するのは、出て来た結果を clear な statement にしたいためで、 広げすぎると本質的ではない(と思われる)問題が生じるからだと基本的には思う (というか、結果が OK ならむしろ話を思いっきり一般的にしたいはず)。 periodic boundary は本質的に面白いと思う。 大信田氏は「回転モード」の必然性をしきりに気にしている。 periodic なら「並進モード」もありうる。 固まった粒子群が自分の縦幅を感じる事は不思議(疑問)。

    • (11/1/2000 追記、と言いつつちょっと前から思ってたが) 横幅に比べて縦幅の短いパターンは通称「関本実験」 (cf.複合系II(1995)…しかし古い話だ) での遅い流れで見えていた。 まぁ「hydro が効いてるから」という excuse はあるでしょうが。

  • 「鉛直に加振した粒状体薄層における準結晶的パターン」 鵜川亜希子 et al.(農工大・工)


    • 秋の物理学会(22pWD-8)の話。 層高 h での characterization がやっぱり良く分からない。 h は砂の量の parameter、現象は砂は自発的に局在する(ような)ので、 effective な層高を自己調整しているとも思える。 パターンの波長に関して、前の粟津君の解析から effective h と同じ scale では?とか、妄想を膨らませる。