市來健吾の日記

プログラマ、(元)物理屋(ナノテク、流体)

久ぶりに「文芸的プログラミング」(donald e. knuth 著、有澤誠訳 ISBN 4756101909) をパラパラ眺める


  • 第 5 章、 jon bentley の書いた文章から
    優れたプログラムを最後に読んだのはいつのことだったろうか。
    最近まで、その質問に対する私の答えは、「そんなことは一度もなかった」だった。それは恥ずかしいことだった。優れた飛行機を見たことがない航空技術者や、美しい橋を見たことがない土木技師など、尊敬には値しない。

  • 5.4 節、 jon bentley の引用した robert pike の言葉
    プログラムを発表することはよい習慣である。それを発表するつもりで私が書いたプログラムは、そのことを念頭においたためによりよいものになった。聴衆に向かって書いているときには、より明瞭に考え、誰か聴衆がいるつもりになるとよい仕事ができることが分かった。

  • 続く、 jon bentley の述懐
    多くのコンピュータ科学者は、私自身と同様に臆病である。われわれが発表するプログラムは、小さな(高度にみがきあげられた)サブルーチン以上のものであることはほとんどない。Knuth は実用になっているプログラムを発表する点で、ユニークな存在である。しかも彼は、そうしたプログラムが正しいと信じている。

  • あと、この本の「第 10 章 TeX のエラー」は、 software 開発者としては、 「あぁ、やっぱり誰でもみんな、こつこつと debug してるんだな」と安心する

  • knuth は (computer science の文脈で見ると)イモだ、 というような話をどこかで見たと思う。 それは翼賛に対してバランスをとろうという意図なんだろうけど、 やっぱ knuth は、少なくともその精神と実行力は、圧倒的にすごいと思う。 TeX みたいな software を、その当時何の見返りもなく公開したってことは、 やっぱり stanford の空気なんだろうか。 (というより、多分、正しい普通の科学者だって事なんだろうな、 学問は知識を共有することだという。)

  • 4/20/2007: Letter to the Patent Office From Professor Donald Knuth