ぼくが影響を受けた5人から、一人目。
どういう経緯でたどり着いたのかは、すっかり忘れてしまったけど、 大学に入りたての頃のわたしの頭に、ドカンと大きな影響を与えたのは、 日本ではあまり名前を聞くことがないけど、アメリカでは有名(みたい)な、 ralph waldo emerson(wikipedia: Ralph Waldo Emerson).
私は、岩波文庫の「エマソン論文集(上)」を持っていて (いや、この本を箱の山から発掘するのが一苦労だったんだけど)、 そのことばに、いろいろと影響をうけて、また後押しされたと思う。
ところで、この本、絶版なのかな? amazon.co.jp だと「出品者」ってのしかなくて、しかも1900円くらいの値付けが…。
ぼくの本のカバーには「定価570円(本体553円)」、 1990年の第10刷りとある。
ちなみに上下2巻の論文集、ぼくはこの上しか持ってない。
で今回、改めて本を開いてみたが、日本語、難しい!若かったから勢いで読んだのかなぁ? 今やもう読めません。
まあ、読んだといっても、書き込みの状態から、 「アメリカの学者」(wikipedia: The American Scholar)と「自己信頼」(wikipedia: Self-Reliance)の2編しか読んでない(読めてない)ようだけど。
ちなみに原文(英語)は project gutenberg にあるので、読めるよ。
以下、当時のわたしが引っかかったフレーズを引用してみよう。
自己矛盾なんてくそくらえ:
「自己信頼」p.205 からわれわれをこわがらせて自己信頼から遠ざけるもうひとつの恐怖の種子は、 矛盾すまいと心がけるわれわれの態度だ。
…
かりに自己矛盾におちいったとして、だからどうだというのか。
「自己信頼」p.205 から愚かな首尾一貫は小さな心が産み出すおばけで、 小心の政治家や哲学者や聖職者の崇拝するものだ。 首尾一貫など、偉大な魂にはまったくかかわりのないことだ。
「自己信頼」p.206 からいま思っていることを厳然たる言葉で語りたまえ、 そしてあるはあす思うことを、たといきょう語ったことと何もかも矛盾しても、 ふたたび厳然たる言葉で語ればいい。
「自己信頼」p.206 から誤解されるということはそれほどわるいことなのか。 ピュタゴラスはごかいされたし、 ソクラテスも、イエスも、ルターも、コペルニクスも、ガリレオも、ニュートンも、 かつて肉に宿った純粋で賢い霊はすべてそうだった。 偉大だということは誤解されるということだ。
10/17/2011: ガイ・カワサキからぼくが得た8つの教訓、心変わりは知性の表れ!
素朴さの力、洗練さの弱さ:
「アメリカの学者」p.132 からさまざまな教育制度が精いっぱいの努力をして訓育した人びとからは、 古いものを破壊したり、新しいものを築き上げたりできる頼もしい巨人は現われず、 むしろ手つかずの野蛮な種族から、恐ろしいドルイドやバーサーカーたちのなかから、 ついにはアルフレッドやシェイクスピアが現れるのです。
「自己信頼」p.197 から(少年は)結果のことや、利害のことで、思いわずらうようなことはけっしてなく、 何ものにもとらわれない本心からの判決をくだす。
…
ところが大人はおのれの意識によって、いわば牢のなかにぶちこまれている。
…
こんなふうにしてあらゆる誓約を避け、一度眺めてしまったあとも、 またもや以前同様、気どりもなく、偏見もなく、買収にも脅迫にも動ぜぬ無垢な心で 眺めることのできるひとは、ーー例外なく恐るべき人物にちがいない。
「自己信頼」p.205 から…いったん魂の敬虔な衝動が訪れたら、… 理論などは残したまま、さっさと逃げてしまうことだ。
「自己信頼」p.225 から…いつだって地上に落ちる猫さながらに立ち直る。こんな頑健な若者がひとりいれば、 都会に生きるこれら人形同然の連中百人ぐらいの価値がある。 こういう若者は、おのれの時代と肩をならべて歩み、 「手に職がない」ことをいささかも恥ずかしいとは思わない。 おのれの生活を先へ延ばさず、すでに生きているからだ。
「自己信頼」p.235 かなわれわれは洗練によっていささか精力を失い、…
行動の大切さ:
「アメリカの学者」p.127 から行動は学者にとって副次的なものですが、不可欠なものでもあります。
…
非行動とは臆病だということですが、…
「自己信頼」p.194 から自分に出来るのはどういうことかが分かるのは自分をおいてほかになく、 その自分ですら、実際にやってみるまでは分からないのだ。
「自己信頼」p.208 からとにかくいま正しいことを行いたまえ。
つるまない、自分の責任で立つ:
「自己信頼」p.191 から「おのれを外に求むるなかれ」
ボーモント、フレッチャー共作『正直者の運命』へのエピローグ
「自己信頼」p.207 からたったひとりで行動すれば、すでにひとりでしたことが、 いまは君を正当だと是認してくれる。
「自己信頼」p.233 から偉人は誰でもたったひとりだ。
10/20/2011: 「ただ独りぽっちで歩むのが潔い」(ブッダ)
物まねでないもの、自発的なもの:
「アメリカの学者」p.121 からもっとも彼らは「考える人間」ではなく、単なる才人、 つまり出発点をまちがえて、自分自身の原理からではなく、 すでに世間で定説となっているドグマからことを始める連中です。 おとなしい青年たちが、キケロや、ロックや、ベイコンの示した意見を受け入れることを わがつとめと信じながら、図書室のなかで成長していきますが、 彼らは、キケロやロックやベイコンも、これらの書物を書いたときには、 図書室のなかで明け暮れする青年にすぎなかったことを、 すっかり忘れてしまっているのです。
「自己信頼」p.193 からわれわれがモーセやプラトンやミルトンのもっともすぐれた長所だと思うのは、 彼らが書物や伝統を無視して、世人がではなく、自分たちの考えたことを語ったという点だ。
「自己信頼」p.215 からわたしの家の窓のしたに咲くばらは、 むかしのばらや、もっと美しいばらをいちいち参照したりはしない。
…
この世にあるその一瞬一瞬に完璧なばらというものがあるだけだ。
「自己信頼」p.216 からいつもきまって、ごくわずかな聖句、ごくわずかな伝記だけを、 むやみにありがたがってばかりいてはならぬ。 おばあさんや保護者の意見を、そして成長するにつれて偶然めぐり逢う 才能や品性のすぐれた人びとの意見を、ただおうむがえしに繰り返し、 ーー彼らの語ったとおりの言葉を思い出そうと苦労する子どものようなものだ。 あとになって、かつてこれらの言葉を語った人びととおなじ見方ができるようになると、 ようやく彼らを理解して、その言葉を手ばなす気になる。 もういつ何どきでも、必要になれば、彼らに劣らぬ言葉をみずから 使うことができるからだ。
…
新しい知覚を得ると、われわれは、記憶のなかにためこまれている宝物を 古い廃物として捨ててしまい、いそいそと記憶を重荷から解放してやる。
「自己信頼」p.232 から芸術家が手本を探し求めたのは、 自分自身の精神のなかだった。
書物について、読書について:
「アメリカの学者」p.122 から書物は、用いる方がよければ、これほどいいものはないが、 用い方をまちがえると、最悪のものの仲間いりをします。
「アメリカの学者」p.123 から書物は学者のひまな時間のためにあるのです。
「アメリカの学者」p.125 から体にそなわる器官を愛するあまり、直感を誇張するあまりに、 性急に「書物」を見くびるようなことはわたしはしたくありません。
…
読書をりっぱにするためには創意をそなえた者でなければなりません。
…
精神が努力と創意によって緊張しているとき、 わたしたちの読むありとあらゆる書物のページが多様な暗示で輝き始めます。
1/23/2011: 寺田寅彦「読書の今昔」から。
見栄について、施しについて:
「自己信頼」p.199 から「さあ、あなたの幼いお子さんを愛してあげなさい、 あなたのために薪を切ってくれるひとを愛してあげなさい、 温厚で慎み深くするのです、それだけの美徳はぜひ身につけてください、 そして過酷で無慈悲なあなたの野心を、千マイルもはなれた黒人たちに この信じがたい思いやりを寄せることで飾り立てたりしないでください。 遠くに向かうあなたの愛は、身近な者には恨みです」。
「自己信頼」p.200 からわたしは、わたしの仲間でなくわたしが仲間でもないような人びとに、 一ドルでも、10セントでも、一セントでも与えるのは惜しい。
「自己信頼」p.201 からわたし自身を確信させたり、わたしの仲間たちを確信させるために、 何もわざわざ第二義的な証拠など必要ではない。
「自己信頼」p.202 からわたしがしなければならないことは、 わたしにかかわるすべてであって、 世間の人びとの考えることではない。
社会との関係:
「自己信頼」p.198 からどんな社会も、その成員のひとりびとりが人間らしくなろうとすると、 共謀して妨害する。
…
自己信頼は社会の嫌いなものなのだ。
「自己信頼」p.198 から人間でありたい者は、誰であれ、順応とは縁を切らねばならぬ。
…
所詮は君自身の精神の損なわれぬ本来の姿以外に神聖なものはひとつもない。
…
わたしにとっては、わたしの本性の法則以外に、どんな法則も神聖ではあり得ない。
…
正しいものはただひとつ、わたしの性質に従っているものだけであり、…
「自己信頼」p.202 から世間では世論に従って生きることが楽だし、 ひとりのときなら自分自身の意見どおりに生きることも簡単だ。 しかし偉大な人間とは、群集のさなかにあって、 しかもひとりあるときの独立心を、申しぶんなく温和な態度で保ちつづけるひとのことだ。
「自己信頼」p.224 からわれわれの時代は、偉大で完全な人間をいっこうに産み出してくれない。
…
われわれの芸術、われわれの職業、われわれの結婚、われわれの宗教は、 われわれ自身が選ばず、社会がわれわれに代わってえらんだものだ。 われわれはいわば骨ぬきにされた兵士だ。 力が湧き出る源泉、運命を賭けた苦しい闘いを避けてとおる。
「アメリカの学者」から:
p.122世界中で価値のあるものはただひとつ、活動的な魂です。
…
活動的な魂は絶対的な真理を見て、真理を語り、あるいは創造します。
p.122彼らはうしろばかり見て、前方を見ようとはしないのです。 ところが天才の目はまえに向けられています。
…
天才は創造するものです。
…
創造的な態度というものがあり、 創造的な行為、創造的な言葉というものもありますが、 これは、つまり、どんな習慣や権威も表さず、 善と美に関する精神自身の認識から自発的に湧き出てくる態度、行為、言葉のことです。
いっぽう、この精神が、…
孤独、検分、蘇生という段階を踏まずに他人の精神からその真理を受けとったりすれば、 …
致命的な害が加えられることになります。
「自己信頼」から:
p.194教育を受けているうちに、ある時期がくると、誰しも、 羨望が無知であり、模倣が自殺であり、よかれあしかれ自分自身を おのれの天命だと思わねばならず、…
p.218いま生きていることだけが役に立ち、 かつて生きたことは無用のものだ。 落ちついてしまうと、とたんに能力がきかなくなる。 能力が生まれるのは、…ある目標に向かって突き進むときだ。
p.231楽しい思いをしたいと願い、 あるいはわが身にそなわらぬ何かを得たいと願って旅をするひとは、 実はおのれ自身から遠ざかる旅をしているのであり、…
1/23/2008: 私の持っている、旅行者嫌いの感覚。
p.233君に割れ当てられていることをやりたまえ。
inbook.jp に、投稿しておいた。
1/21/2011: 今日のジェシカ「Recent Inspiration」から、私の大事な5人
1/22/2011: 引越し荷物からの本探し (私の大事な5人の一人目について)
1/23/2011: ぼくの大学時代のノートから(私の大事な5人、一人目の名前、発表)
2/12/2011: ぼくが影響を受けた5人から、二人目。
2/20/2011: ぼくが影響を受けた5人から、三人目。
3/6/2011: ぼくが影響を受けた5人から、四人目。
11/4/2011: who's the most attractive person for you?